「白に染まる静寂——『すべての、白いものたちの』を読んで」
『アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作』——この一文だけで、気づけばレジへと足が向いていました。
さわりの部分をどうぞ。
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『白いものについて書こうと決めた。春。そのとき私が最初にやったのは、目録を作ることだった。』
おくるみ
うぶぎ
しお
ゆき
こおり
つき
こめ
なみ
はくもくれん
しろいとり
しろくわらう
はくし
しろいいぬ
はくはつ
寿衣
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というように、ただただ淡々と、「白」という色にまつわるさまざまなものが語られる。
その一つひとつが、作者の記憶と静かに絡み合いながら紡がれていく。
詩のような、けれど散文のようでもある独特の流れ。
文字数は決して多くないのに、それぞれの言葉のが大きな余韻を生む。
気がつけば、作者の死生観がじわじわと心の奥に降り積もっていくような感覚に包まれていた。
以前から漠然と惹かれていた詩の世界。
この一冊を読んで、もっと深く踏み込んでみたくなった。
次は何を読もうか——新しい扉がまたひとつ、開かれた気がします。